もののけ姫に愛されて。。
『……っ』

ゆっくり…と、その瞼を開けた美結…

その瞳は、あの日、遊園地のあのアトラクションて見た瞳と同じ…

「…彼女に、危害を加えるな…と、言ったはずだ…。リア…」

冷静さを装いながら…、律のその声は、いつにも増して威厳に満ちていた…

その律の声に、律の方に視線を向ける…

律は、美結の身体が倒れないよう…支えていた手を、すぐに離す…

『危害…は、加えてないゎ…』

「…っ同じことだっ!」

そのテーブルの上を、勢いよく…その手で叩く…

「一体、何が目的だ?
彼女の身体に乗り移るのは、危害を加えているのと同じだ…っ」

『何を、そんなに怒るのか?
貴方は、私に会いたかったんじゃないの? 会って、聴きたいことがあったのでは…?』

図星…を、つかれ…何も言い返せない…

律は、美結の身体に入った彼女から視線を逸らす…

『私には、実体がないのだから…、だれかの身体を借りなければならない…
そうでしょ?
私、この子の身体、気に入ったの…。だから、少しの間、借りてるだけよ…』

そぅ、にっこりと微笑む…

いつもの…美結の笑顔とは違う…

彼女は、こんな笑い方はしない…

「じゃ、なんの目的が…っ?」

『…【目的】…。そぅね、それは…貴方が、全て思い出すこと…ね。』

「…生まれる前の記憶…か…。
そんなモノ、本当にあるのかどうなのか…?」

美結は、律が気になって図書館の本棚のブースから持ってきていた…英訳の本をめくる…

律に、その本の中にある…あるページを見せ…

『ここらへんかしら? 私たちが昔、いた…
とても、小さな国だったけど…数百年、続いた…
とても美しくて、緑溢れる国…』

そう、言いながら…昔のヨーロッパ辺りの地図を指さし言った…

律は、それを目にし…、確かに、見覚えがあるような気はするが…それ以上のことは思い出せない…

「…分からないょ、そんなの…」

やはり、記憶を思いだす…ほかないのか、…と。

『貴方は、ここで…未来の皇帝だった。皇太子だったの。
私たちは、そこで…国を納めるために、幼い頃から婚約者同士だった…
貴方の心変わりさえ…なければ。。
私は、国母として、皇后となって…貴方を支えるはずだった…』

「…心変わり…?」

『結婚する…直前になって…
【他に好きな女性が出来た】【彼女を正室に迎える】と。
馬鹿みたいに素直で、明るいだけの…皇后にはお世辞にも相応しくない…皇室教育も受けていない…そんな女を選ぶなんて…』

美結の身体を借りたリアは、律を真っ直ぐ…に見つめ…

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