もののけ姫に愛されて。。
「三枝が、今でも眠れない…って言うのなら…、ウチの母親が連れてきてって言っていたけど…。
大丈夫そうだね?」


その、律の言葉に…美結は、小さく首を傾げる…

「…【お母さん】?
西園寺くんの?」

「あー、一応、霊感とか、物見やってるから…」

「そぅなんだ。ありがとう。
でも、大丈夫だから!」

そぅ、いつもと同じように笑顔を見せる…

「それなら…いいけど。」

「じゃ、あたし、行くね!」

笑顔を見せ…、出て行った美結…


夏休み終盤は、お互い…課題に終われ…。。電話やLINEのみのやり取りだった…

何かあれば、すぐに連絡を寄越してくれ…、眠れない…と言われれば何時間でも電話に付き合った…

彼女が…、美結があれから、律の前世の恋人に悩まされることなど…無くなっている…と、思いたかったのかもしれない…


が。。

状況は、何一つ、変わってはいなかった…――



【…美結…、貴女は、ホントに人がいい子ね…】

準備室を出た美結…廊下を歩き、教室へと向かう…

その、凛とした声が、耳元に聞こえ…微かに聞こえた右耳に、手を当てる…

「……っ」

【私を、可哀想だと思うの?
律は、本当に大切なことを伝えていないのね?

私は、彼に殺されたのに…っ】

「……っ」
《止めて…っ。そんなこと…言わないでっ!

そんなはず…っ!

そんなこと、信じない…っ!》


足元が、崩れ落ちそうになりながら…どうにか、足を運ぶ…

両の耳を、両手で塞ぐ…

【本当よ。彼に…聞いてみればいいゎ。】


その声は、すぐに掻き消えた…

彼女の声は、いつも…聞こえる訳ではなかった…

時々…、ほんの一瞬、聞こえるだけで…すぐに掻き消えた…


耳元に、その彼女の声が聞こえなくなったことで、ホッと一息ついた…

すぐに、いつもと変わらない足取りで…歩みを進み…教室へと戻って行く…


律に、秘密にしているつもりはなかった…。。これ以上、いま以上の心配を掛けさせたくない…という思いがあったからだった…

声が、聞こえる…。。
夜、時折、目が覚め…眠れなくなる…その程度で、身体に乗り移られる…ということはなさそうだったから…。。

律には、言わずにいた…それだけだった…。。



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