もののけ姫に愛されて。。
チラ…っと、律の方を見…

「話しが…あるの。」

彼女が、言うまでもなく…予想はしていた…

「…なに…?」

「も…、やめようか…?」

語尾が…、涙声なのか…、汽笛の音なのか…、かき消されていた…

「最初に、試用期間でもいいから…って、提案した時に…、西園寺くん、言っていたこと、覚えてる?」

「…なにを…?」

「…【好きな人がいる】って…」

「……」
《そんなこもを、言っていたのか…? 忘れていた…

いまは、それよりも…

自分の中にある…新たな気持ちに、どぅ伝えればいいのか…

分からなかったから…》


「それは、昔の恋人の…あの人のことだよね?」

「三枝…、あのさ…」

「…聞いて! 」

美結は、律が言いかけた言葉を遮るかのように…声を発した。。その瞳で軽く律を睨みつけるかのような視線を向ける…

「あたし…、適わない…んだよね?」

律のことを、まっすぐに見つめ…、涙をためながら…笑いかけようとする…

「…あんな風に、酷い目にあっても…、貴方を好きでいる…
あの人には、適わない。
強く…なりたかった。あの女性のようになったら…強くなれるのかな?…と、思ったけど…
やっぱり、ムリなんじゃないかな…? 元々、背伸びしすぎてたんだから」

最後は、懸命に…泣かないように、涙を堪えてはいたが…涙が、次から次へと溢れ出していた…

「…俺の話は、聞いてくれないワケ…っ?」

律のその言葉に、美結の瞳な一瞬、揺らめく…

「俺、三枝のこと…、好きだよ…。
彼女のことは、過去のことだろ?
それを、分かって欲しくて…話したんだよ?」

こんな時になって…、自分の想いを口にした律に、美結は、一気に泣き出した…

「…ごめんなさい…。やっぱり…、怖いの…」


そぅ、言い残し…美結は、船内に戻って行った…

律は、彼女のあとを追うことも出来ない…


ゆっくり…と、動き出したフェリーのでキッキから
海を眺めていた…

「…これで、満足…か…?」

そぅ、問いかけても…、応える…と、思っていた彼女の返事はなかった…


心に、ポッカリと…大きな穴が空いたような空虚感だけが残った…

自分は、本当に…彼女のことが好きになっていたんだ…と、今になって思い知らされたことに…――
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