もののけ姫に愛されて。。
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「りっちゃん!」

その言葉と同時に、律の頭を軽くこついた人物…

律は、聞きなれた…その声に、その方を見上げる…2つ年下の従妹・碧生(あおい)だった…

「夏休みだからって、ぐうたらしすぎじゃない? 碧生のLINEに返信もないしっ!」

出された烏龍茶を飲み干した律は…

「なんで、お前のLINEにいちいち返事しなきゃなんねーの?」

「冷たいっ! でも、そこがいい!」

と、ワケの分からない発言をする碧生に、頭を抱えたくなった…

「お前、頭、おかしいの?
俺、お前が寄越すLINEに返信したくないって、言ってんだけど。」

が、碧生は、即座に律の隣りに座り込み…、ベッタリ…と律の腕に手を絡める…

律は、その手を払い除け、軽く睨みつけながら…

「暑苦しいから、止めろ…」

と、悪態をついた…

「りっちゃん、碧生をお嫁さんにしてよ…っ!
来年、碧生 16歳になるし…りっちゃんも18になるじゃん!」

「あ~、ウザい! 従妹と結婚とかないわっ! 有り得んっ!
お前、俺にとっては女じゃないし!」

「ひっどーい! 碧生は、りっちゃんのために生きているのに!」

と、声を張り上げる碧生に、律は、腰を上げかけた…

「TPOをわきまえろょっ!
大体、俺のため…って…大袈裟なんだ…ょ…」

その時、何かを思い出しかけた…

【私は、あなたの為に、
…生きていたのに…っ

あなたにとって、私は邪魔だったのですね?】

そぅ…、泣きながら…訴える…

銀色の背中までの髪に、金色の瞳…をした美しい人…


「……っ!」
《…私は、彼女を殺した…っ!》


少しずつ…、律の顔色が青白くなっていく…

その手で、口元を抑える…

「りっちゃん、顔色悪いよ…」

みるみる顔色が悪くなっていく律を心配する碧生…

「ごめん、ちょっと…っ」

碧生に背を向け…、その部屋を出て行った…

外の空気を吸おう…と、寺の境内の外に出る…

大きな楠の木がある所までたどり着き…その、木に触れる…

自然のモノに触れると…、少しずつ…顔色も戻って来ているような気がした…

深呼吸を何度かし、その木に背を預けもたれ掛かる…

「……っ」
《そう言えば…、

死んだばぁちゃんが言っていた…》


【律はね、昔のことをやり直すために生まれてきたのよ、きっと…

だから、……に出会うまては、自分を律しないとね】


「…やり直す…って、何を…っ?」
《あの時、

なんて、言っていた…っ?


昔のこと…って…、一体、何を意味している…っ?》


先程の碧生が発した言葉で、何かを思い出しかけていた…

「……っ」
《誰かが…、俺のために生きて…

それを、その人を…殺したのか…っ?》



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