クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
「わかっていて知らん顔してました?」
「そっちが小走りでこっちに来たから、当然俺の元に来ると思っていた。でもその前で止まって座り込んだお前が悪い」
「お前?」
はい?お前?お前って言いました?
初対面の私の事ですか?
この一瞬で私の性格に火がついたけど、冷静に考えたら長田さんにも一理ある。
「すいませんでした」
それでも素直に声が出ず、ゴモゴモと謝ると長田さんは王様目線で私をチラ見してカップを口にした。
綺麗な長い指が印象的だ。
近くで見ると肌も綺麗。
「それで妹がインフルエンザで欠席?」
「そうです……って、話聞いてました?」
「裏側にいたから聞いてた」
しれっと言われて嫌な感じ。でもそうなると話は早い。この修羅場から早く帰りたい。
「申し訳ありません。また改めてこちらから連絡させていただきます。妹と会っていただけますか?妹は可愛くて……」
「嫌だ」
返事早っ!
まだ売り込んでる途中なんですけど。
「そこをどうにか」
「嫌だ」
2度目の拒否。
ミッション失敗。
留守番三人組の怒る顔が目に浮かぶ。