クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
その夜の8時過ぎ
大好きなミステリーを開いてるけど、内容が頭に入ってこない。あきらめたように本を閉じてベッドに転がってたらスマホが震えた。
これか?
胃を押さえながら画面を見るとそれはLINE電話であり、表示は大下弘一と書いてあった。
俺様内科医じゃなくて、癒し系ホテル専務の方だった?
驚きながらベッドの上で正座しながら指を滑らせる。
「はい」
『玲菜さん?急に電話してごめん。どうしても声が聴きたくなった、忙しいかな?』
耳に残る少し低めな声が心地よい。
「大丈夫です。ヒマしてました」
そう言いながら心臓ドキドキ加速中。
『僕は空港で、これから出張でパリに行きます』
「パリですか?フランスの?」
『ですね。フランス以外にあるかな?』
優しい笑い声と共にそう答えてくれた。私ったらバカな質問して恥ずかしい。
「私は……本を読んでました」
『ジャンルは?』
「ミステリーです。題名は……」
慌てて本を拾って題名を言うと『それ読みました。犯人を教えましょうか?』って言われて「絶対ダメ」と強く言う。
するとクスクスとまた笑いながら
『では金曜の夜。食事に誘っていいですか?』と言ってきた。
「お食事ですか?」
『美味しいイタリアンの店があるので一緒にどうでしょう?フレンチの方が好きですか?』
「いえ……あの……」
『では、金曜日に』
「待って下さい大下さん。私は大下さんとはほぼ他人です」
『連絡先交換したでしょう』
「いや、それはですね」
それは私のカン違いでそうなっただけで
何て言えばいいのだろう。