クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!

そして私達は少し歩いて近所の小さな居酒屋の玄関をくぐる。

イケメンふたりは店に入ると珍しそうに周りを見渡し、数名いる馴染みのお客さんは明らかに場違いなイケメン達をこちらも珍しそうに見ていた。

「久しぶりだね玲菜ちゃん。小上がりだけどいい?」

「うん。ありがとう」
この居酒屋さんとは家族ぐるみの長いお付き合い。単身赴任のお父さんが帰って来た時は、ここ家族で宴会をしている。

私はおしゃれな服装のふたりと畳の小上がりに座り、深呼吸をしてから「ビールでいいですか?」と聞く。

「クラフトのゴールデンエール」
「ベルギーの……」

「おじさん。生みっつ!」
「あいよっ!」

居酒屋は生でしょう。
運ばれたジョッキを持って「重い」「でかい」と文句を言いながら、なんだか楽しそうなイケメンさん達と乾杯してから喉を潤す。

「美味しい」と声を合わせて三人で笑った。
仕事終わりの居酒屋は最高でしょう。
きっと二人ともめちゃめちゃ高いレストランを予約してたんでしょう。ごめんねトリュフもキャビアも出ないよ。ごぼう揚げとチキンソテーと海鮮サラダともずく酢とラストはお茶漬けだからね。
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