クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
空には綺麗なお月様。
春の夜風は少し冷たくてクシャミをひとつすると、心配そうにまた自分の身体を密着させる大下さん。鼓動が空に広がりそう。
静かな平和な住宅街。
ほろ酔い気分の私達を大きな月が道案内してくれる。
「お土産があったんだ」
大下さんは無造作にスーツのポケットから黒い箱を取り出して渡してくれた。
普通にもらったけれど、月明かりの下それを見たら高級感溢れる黒の箱にBで始まる金の7文字……これは、超高級ブランド物。
「こんな高いのもらえません」
酔いが一気に醒めそう。
「まだ中も見てないのに?」
大下さんは微笑んで箱を開けると、そこには月より輝いているダイヤをあしらうネックレスがあった。
「ダメダメ高いっ!」
箱を閉めて大下さんの顔を見上げると、寂しそうに私を見下ろしていた。
そんな悲しい顔しないで下さい。
私がいじめてるみたいでしょう。
「運命って信じますか?」
「運命ですか?」
正面からギュッと彼の腕の中に私は抱かれた。
「僕は二代目なんです。父がホテルを創り僕が世界に広げる」
「御曹司ですね」
この品の良さは御曹司オーラだったのか
納得してしまう。
「本当は嫌だった」
彼の手に力が入り、私の身体は息苦しいくらい抱きしめられた。