クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!

「子供の頃から跡取りと決められて、そんな教育ばかりでうんざりしていた。あの日も大きな商談前でひとりカフェに座っていたら、玲菜さんがやってきた」

「間違えてごめんなさい」

「もう嫌になっていて、正直逃げたかった。でも……玲菜さんにホテルを褒めてもらって、自分の仕事をもう一度見つめ直した。この場所を素晴らしい場所にしよう。父以上に過ごしやすくお客様に喜んでもらいたいって心から思ったんだ」

「それは私の発言より、大下さんの気持ちが……」

「もう一度、どうしても会いたくて」

柔らかな唇が私の髪にキスをする。
甘い香りと甘い声。
そして甘い顔。

「玲菜さん」

「まだお会いしたばかりです」
こんなお姫様展開は自分の人生でありえないので、かなりためらってしまう。

「春風のような玲菜さん。間違えて僕と出会ったのも運命です」

「まだ……あの……」

「表情豊かで強い意思を持つあなたが好きです」

飲み込まれる
甘い罠に飲み込まれる。どっぷりつかりそう、いや飲み込まれた方が楽なんだけど、どこかこれじゃいけないって小さな理性が転がっている。

「ごめんなさい。今日はごちそうさまでした」

ダッシュで逃げる私。

ここで逃げていいものか
いや
やっぱりよくわかんない。
何が正解かわからない。
お酒の力か恋の力か

いや本当にこの状況がよく

わかんなーーーーい!!!
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