クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
家に帰ったとたん
妹と母にワンコのようにまとわりつかれ質問攻めにされた。
「恋人とか結婚とかないから」って説明しても、盛り上がりは止まらない。
「おねーちゃん凄いよ!医者とホテルの御曹司がお姉ちゃんを取り合ってるなんて。もう二度とないモテキだよ。ここは慎重にどっちか必ずゲットしよう」
私が仕事から帰る前に色々聞きこんだな。
「おかーさんはどっちでもいい。ふたりともお金持ちでイケメンだもん」
家族の言葉とは思えないよ。
家に帰ってから一気に疲れがやってきた。
ミネラルウォーターを飲みながらふと台所のカウンターに飾られた赤いバラの花束を見つけた。
綺麗。
真っ赤なバラの花束は高貴で美しい。
ジッと見てたら妹が「長田さんが持って来たよ」って教えてくれた。
「長田さん?」
あの俺様が?バラの花を?
「長田さんの方が先に来たんだ。バラの花束を持って『玲菜さんと約束していて、こちらで待たせてもらってよろしいでしょうか?』って丁寧に聞いてきた」
「感じ悪くなかった?」
「えー!ぜんぜん紳士だったよ。優しくて穏やかで真面目で、ねぇお母さん」
「うん。お医者様なのに偉そうじゃなくて、爽やかできちんとしていた。玲菜が忘れたルビーのイヤリングも丁寧に返してくれた好青年よ」
猫かぶってる?
私の印象と真逆なんですけど。
高いイヤリング返してもらってよかったー。それならもう遠慮しなくていいね。