クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
荘厳なロビーからカフェに移動すると
そこは南国のような日差しと緑の世界。
映画で観た事しかないけれど
これがプロバンス風ってやつなのかしら。
ガラス張りの景色の外は高級ホテルの美しい庭があり、天窓からも柔らかい光がカフェに射している。優しく温かい空間に思わずうっとりしてしまう。
けど
違う違う。うっとりしてはいけない。
早く終わらせて早く帰ろう。
早く着替えたい。
爽やかな五月晴れ
今日は特に温かく心地よい。
せっかくの日曜日。
今日頑張ったご褒美にピールを飲もう。うんうん。それを楽しみに早く終わらせよう。頑張るぞ。
お相手はどこにいるんだろう。相手側のお世話役から叔母さんの携帯に写真を送ってくれたようだけど、叔母さんのガラケーでは容量が大きかったのか、画像なし。イケメンって騒いでたけど、本当にイケメンかどうかもわからないな。私は代理だからいいのだけれど……相手はえーっと……
ブルーグレーのスーツ
ストライプのシャツ
淡いビンテージっぽいネクタイとポケットチーフ。
そして相手側には私の今日の服装を伝えていた。一番の目印は耳元のルビーのイヤリング。スクエアの大きなルビーは叔母の自慢の品。医者の肩書に負けないように私に着けさせたかもしれないけれど……妹じゃなくて私がこの場に居るって事でもう負けてます。