クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
その夜
長田さんがド派手な車で迎えに来たので、私は車に乗り込んだ。
どうしたものか
もう元カレとは終わった話で
課長に婚約報告した様子を見ても『あっ、そーなの』って白けた気持ちでしかなく、もう過去の話なのに
なんで落ち込む私。
引きずってるわー。引くわー。
自分で自分に引くわー。
「何かあった?」
ネイビーのノーカラーシャツがよく似合う。
ハンドルを握る手が意外と筋肉質で血管が少し浮いているのが男性的だった。
「食欲ない?」
俺様内科医の声が今日は優し過ぎる。
信号待ちで顔を見られたので、なぜか泣きたくなった。
「今日は居酒屋にしよう!」
長田さんは子供をあやすように私の頬を優しく撫でて、アクセルを踏んだ。
すれ違う車のライトとか街灯が今日はやけに綺麗だなって思ったら、知らないうちに私の涙でライトアップされていたようで、また引きまくる。