クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
「最初は意地もあったんだ」
強がりという似た者同士な私達は寄り添うと、お酒の力で弱音を吐きだす。
「妹の代理で断りに来たって何コイツ?そして堂々と相手を間違う」
「ごめんなさい」
それしかない。
「そして俺を見て断るって……何?俺も大下も断られた事ないよ。こっちから断ろうと思って行ったのに先に言われてムカついて……意地悪したくなった」
「性格悪い」
素直に言うと頭を叩かれた。
「うん、でも新鮮だった。大下もそんな気持ちだと思う。玲菜の存在が新鮮で惹かれたんだろう。お前の飾らない姿が好きで、話をしてると楽しくて他の女に言えない本音とか言えて……ずっと一緒に過ごしたくなって……誰にも渡したくないって思った」
そんな風に思ってもらえるなんて
素直に嬉しい。
「選ぶのは玲菜だから、その結果に俺は何も言わないし言えない。大下と結婚すると一生贅沢できる幸せも待っている。正直言えば大下に勝つ自信はあまりない」
「えっ?」
俺様内科医の言葉とは思えなくて私は驚いた。
長田さんはため息をひとつしてから手を上げてタクシーを拾う。そしてさりげなく私の頬にキスして「おやすみ」って言い寂しそうに笑って私をタクシーに乗せた。
遠ざかる彼の顔はやっぱり寂しそうに映った。