クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!


午後7時

今日は会社帰りに待ち合わせて、予約が取れないイタリア料理店でディナー。
この2人と付き合い出してから、気のせいかスカートがきつい。

キャンドルが灯るテーブルで向き合う私と大下さん。

「今日は驚きました」
素直に言うと、大下さんは叱られた子供のように肩をすくめてから「デザートのティラミスで許して下さい」と私に言う。

育ちがいいのか憎めない人だ。

「周りに恋人って説明してくれましたか?」

「しませんよ!」
グラスの水を吹き出しそうになる。

あれから
部長と常務とフロアのみんなに色々突っ込まれたけど、ただの知り合いと説明した。
その説明で納得した顔はいなかったけど。

特に元カレ……何も言わず黙って私をしばらく見てたようだ。

そして帰り際の更衣室で着替えていたら、私が居る事に気付かなかったのか、途中から元カレの婚約者とその仲間たちが荒々しく入って来て

『信じられない!高級ホテルの御曹司だって!』
『すごいイケメンだった』
『悔しい……めっちゃ悔しい』

勢いのある負のオーラをまき散らすので、私はロッカーを大きな音で閉め彼女達を黙らせ、更衣室を出た。
凜花ちゃんならのけぞるくらいの高笑いでもするかな?って思うと笑ってしまう。
自分の話なのに他人事に遠く感じてしまうから。
< 63 / 81 >

この作品をシェア

pagetop