クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
午後7時
今日は会社帰りに待ち合わせて、予約が取れないイタリア料理店でディナー。
この2人と付き合い出してから、気のせいかスカートがきつい。
キャンドルが灯るテーブルで向き合う私と大下さん。
「今日は驚きました」
素直に言うと、大下さんは叱られた子供のように肩をすくめてから「デザートのティラミスで許して下さい」と私に言う。
育ちがいいのか憎めない人だ。
「周りに恋人って説明してくれましたか?」
「しませんよ!」
グラスの水を吹き出しそうになる。
あれから
部長と常務とフロアのみんなに色々突っ込まれたけど、ただの知り合いと説明した。
その説明で納得した顔はいなかったけど。
特に元カレ……何も言わず黙って私をしばらく見てたようだ。
そして帰り際の更衣室で着替えていたら、私が居る事に気付かなかったのか、途中から元カレの婚約者とその仲間たちが荒々しく入って来て
『信じられない!高級ホテルの御曹司だって!』
『すごいイケメンだった』
『悔しい……めっちゃ悔しい』
勢いのある負のオーラをまき散らすので、私はロッカーを大きな音で閉め彼女達を黙らせ、更衣室を出た。
凜花ちゃんならのけぞるくらいの高笑いでもするかな?って思うと笑ってしまう。
自分の話なのに他人事に遠く感じてしまうから。