クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
タイミング悪く
素早くこっそり化粧室に逃げるつもりが、しっかり長田さんに見つかってしまった。
「玲菜?」
悪びれもなく堂々と私の行く手をふさぐ人。
「偶然。いつからいた?声かけろよ」
甘い顔で私を覗き込むけど、私の様子がいつもと違うと知って不思議そうな顔をする。
「彼女に悪いから……」
ボソッとそう言うと爆笑された。
「大学の後輩だよ。紹介するからおいで」
「いいよ」
あんな綺麗な人に紹介されたくない……って、いやどうしてこんな卑屈な嫌な女なんだろう私。彼女も長田さんも悪くないのに。
「美男美女でお似合い」
「それは否定しない」
「だったら……もういいでしょう」
「おい」
長田さんからすり抜けて奥に進む身体が止まる。私の腕が彼の腕に強く捕らわれていた。
「離して」
「玲菜?どうした?」
「わからないけど……私より似合ってるよ。長田さんは私よりもっと素敵な人が似合ってる」
「大下にプロポーズされたんだろ」
急に大下さんの名前が出て来て驚く私。
「ちょっと出よう」冷たい声で長田さんは私の腕をつかんだまま、一度外に出て店の路地裏に落ちついた。