クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
「お前どうしたの?酔って……」
長田さんの言葉を最後まで聞かず、私は背を伸ばして彼の冷たい唇にキスをした。
ウィスキーの香りがほんのりと香る甘いキスだった。
長田さんは眼鏡の奥の目を丸くして驚き、私は自分が我に返って恥ずかしくなる前に彼の身体に抱きついた。
「私が甘えたいのは長田さんだから、大下さんに行けとか言わないでよ」
私がそう言うと
彼の手が強く私の身体を抱きしめる。
「俺でいいのか?」
優しい声が私の耳元で囁く。
「あっちの方が紳士で金持ちだよ」
「知ってる」
「それ言うな」
私を抱いてる手に力が入る。
「ツンデレのドMな長田さんが好きだよ」
三人で過ごすうちに、長田さんも大下さんの良さをわかって私を譲ろうとしてたんでしょう。大下さんは大金持ちの優しい王子様だもん。
「お前はいつも一言多い」
「そこも好きでしょう?」
負けずに言うと彼の指が私のアゴにかかり、クイッと顔を上げられた。
優しいまなざしが私を包む。
「悔しいぐらい……好きだよ」
「私と一緒だね」
彼からのキスは甘く
さっきは香りだけだったけど
今度は芳醇なウィスキーの味が私に伝わった。