クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
「また三人で会いましょう」
私が言葉にすると、大下さんは優しい王子様の微笑みを見せる。
「最初に行ったお店にまた行きたいです。玲菜さんの家の近くにあるお店」
「もちろんもちろん。近いうちに行きましょう」
「絶対ですよ」
そんな会話を隣で聞きながら、彼は知らん顔をする。
彼も大下さんの人柄を知っていて、私抜きで何度か飲みに行ってるはず。
自分から身を引こうとするぐらい
大下さんは男性の目から見ても魅力的で、完璧な王子様なのだから。
「これは……僕からのプレゼント」
さりげなく
いつ用意したのかわからないけど、テーブルの上にカードを二枚のせる大下さん。
ベージュの地に赤い椿の花が咲いている。
「チェックインは終わらせてます。冷えたワインも一緒にどうぞ、エグセィクテブスイート一泊分です」
えっ!
こんな高級ホテルのスイート?
このカードって部屋キーなんだ。大下さんは一度しか言わないと言って四桁の数字を長田さんに告げる。
「ロイヤルじゃないの?」
「ロイヤルは予約が入っていて、次回は長田さんの力でお待ちしてます」
そんな会話を聞きながら
私はカードと大下さんを見比べてボーっとしてしまう。
「コーヒーごちそうさま」と言って大下さんは本当に行ってしまった。