クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!
ブレンドを運んでくれた店員さんにお礼を言って口に運ぶ。
「これも美味しい」
「店員にお礼を言う必要はありますか?彼らはサービスを売る仕事です」
冷たく言われてムッとする。
「それは私の自由だと思います」
「表情がコロコロ変わるんですね」
「変わらせてるのは長田さんですよ」
「あの……その長田さんと見合いの件ですが」
言いずらそうに口ごもる長田さんの前で、何かを忘れてる気がする私。妹のインフルの話をして、それから……あっ!妹を売り込まなきゃいけないんだ。こんなイケメン逃したら怒られる。
「妹の話をさせて下さい」
前のめりになる私を見て引く長田さん。
ヤバい。ごめんなさい。
「妹は私より小さくて優しくて可愛くて、女らしくて性格もよく、今日は長田さんと会うのを楽しみにしてました。もう一度チャンスを下さい」
ブレンドの入った高そうなソーサーとバカラのグラスを横にずらし、さっきより深く頭を下げると「やめて下さい」と言われてしまった。
「どんな状況でも、女性に頭を下げさせるなんて僕には考えられません」
「許していただけますか?」
「こんな可愛らしい女性にNOとは言えません」
イケメンに言われると嘘でも溶けてしまいそう。女性扱いされてないので嬉し恥ずかしの世界である。