ヒマワリ
女子高生３人組が、大声で笑いながら店内に入ってきた。

「ギャハハ、マジウケル」

「でさー、鈴木っているじゃん、４組の」

「あーあいつチョーウゼーんだけど！　マジ殺してい？」

「いらっしゃいませー」

そちらのほうを見ながら頭を下げる香奈の前に、どん、と無造作に弁当が投げ出される。

見るとレジの前で、坊主頭にサングラスを掛け、ピースペンダントをぶら下げた男が、ガムをくちゃくちゃさせながら携帯で楽しそうに誰かと話をしている。

首にかけたヘッドホンからはヒップホップが漏れ聞こえてくる。

「あ？　マジで？
　え、うっそそれマジ？
　チョーヤベーってマジうっそ呼べって俺もマジで……」

香奈は慌てて弁当を持ち上げ、

「いらっしゃいませ、温めますか？」

と尋ねるが、男は大声で話をしていて香奈のほうを見もしない。
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表紙・目次

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