ヒマワリ
驚いて手を引っ込める香奈に中年男は、

「ね、お姉ちゃんはいくら払ったら、こんなことしてくれるの？」

そう言って雑誌を取り出し、ニタリと笑う。

香奈はさすがにむっとして、

「そんなことしません。
　帰ってください」

毅然と言い放つ。

中年男はそれでもニタニタと香奈を見つめながら、去っていった。

不快な思いにヘコみそうになる香奈の背後でピーッ、とレンジがなる。

中から弁当を取り出し、ビニール袋に入れると、レジから少し離れたところでいまだ話し中の男のところへ持っていく。

「そうそうそ、マジだってマジ。うっせ殺すぞこのヤロー……」

「ありがとうございましたー」

男はゲラゲラ笑いながら、香奈の方を向くことなく弁当を受け取る。

香奈がまたレジに戻ると、今度は台の上に２つのカゴが離れて置いてあった。

右のカゴの前には先ほどの女子高生３人組、にぎやかに話をしている。

左のカゴの前にはしかめっ面したオバサンが立っている。

香奈、困って両者に視線を泳がせる。
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表紙・目次

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