ヒマワリ
はげしい雨の中、香奈はずぶ濡れになって歩いていた。

公園の前を通り過ぎようとしたとき、その耳に、公園の中から子供達の、なにやら楽しそうな嬌声が聞こえてきた。

なにげなく視線を向ける香奈。

「あっ」

その視線の先には、またあの男がいた。

男は頭に白い包帯を巻いたままで、ひねった足を引きずり、そして黒い玉を大事そうにコートの中に抱えていた。

その男を、傘を指した5・6人の子供たちが取り囲み、今度は泥玉をぶつけていた。

男はやはり怒りもせず、ただいつものように玉をコートの中に包むようにして子供たちの攻撃から守っていた。

その光景を見つめる香奈。

だんだんと眉が吊り上っていく。

ついに堪えきれなくなった香奈が大声で怒鳴る。

「こらっ、てめーら!」

「わっ!」

びっくりした1人の手元が狂った。

それは見事に、香奈の頭に命中した。
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