ヒマワリ
「まったくアンタはねー」

「なによぉ」

「ちょっとぽわんとしすぎ。
 もっと気をつけないと」

「なにが?」

「あの“タマ”よ!」

「どんどん略されてる……」

「だいたいアイツ、なんで玉磨いてんの?」

「……う~ん、良くはわかんないんだけど、なんか世界を救うらしいよ」

「なにそれ宗教?」

「じゃないけど……」

「え、意味わかんない。
 ボーリングの玉磨いてたら、飢えた子供のおなかが膨らむの?
 世界から戦争が無くなるの?」

「う~ん。
 ま、くわしいシステムはあたしにも良くはわかんないんだけど……」

「……で?」

「? なに?」

「それ、まさか信じてんのアンタも」

「まっさかぁ!」

大きく手を横に振る香奈。

「そりゃまあ本人は超本気だけど、まあなんと言うか、いくら一生懸命でも、それはちょっと話が違うかな、と」

「じゃなんで通い妻なんてやってんの?」

「もう、違うって!」

「とにかく、もう行っちゃだめだからね」

「え、なんで?」

「なんでって……当然でしょ。
 あんなあぶないやつの家ふらふらついてくなんて考えらんないよ」

口を尖らす香奈。
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