ヒマワリ
「べつにあぶなくないし。
 ふらふらもしてないし」

「あぶないって!
 決まってんじゃん!
 人さらいの前科持ちだよ。
 しかもロリコン」

「またあ……。
 ホントにそれ、ホントのことなのかなぁ」

「ホントだって。
 決まってんじゃん。
 さらに付け加えるとボーリングの玉磨いて世界平和を願ってますよ?
 これもうビンゴでしょ。
 要注意人物界の3冠王だよ」

「いや、なにソレ」

「もうアイツには近づくなってこと!
 ああいうのは百害あって一利なしなんだから。
 ああいうのがきっと、ある日突然おかしな事わめきながら人刺したりするんだよ。
 ったく、こっちは平和に暮らしてるってのに。
 どうして警察はああいうの野放しにしとくのかしら。
 早いとこなにかの罪状でっちあげて捕まえとくべきよ。
 なにかあってからじゃ遅いっての」

「……それはちょっと言い過ぎじゃない?」

「なに言ってんのって。
 みんなだって言ってるもん!
 あいつのおかげでうちの近所マジ迷惑してんだから。
 いつも汚いカッコしてへんなタマ持ってうろついてるから他所から来た人にいろいろ言われるし、小さな子供持つお母さんとかも心配してるし……」

「そんなの勝手に周りの人が言ってるだけじゃん!」

突然テーブルを叩いて声を荒げる香奈。

ざわついていた周りがシンとなる。

「香奈……」

「あの人は何にもしてないじゃん!
 ただあのタマ磨いてるだけじゃん!
 それをみんなが勝手にとやかく言ってるだけでしょ!
 よく知ろうとしないのなら、ほっとけばいいじゃん!」

怒って席を立つ香奈。

「ちょっと香奈!」
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