羊かぶり☆ベイベー
とにかく今日は、旅行なのだから、こんな時くらい心を弾ませて過ごしたい。
一旦、忘れよう。
旅行は、非日常も同然なのだし。
今日は、自分の為に過ごそう。
そう思ってからは、素直に楽しむことに専念した。
渓谷鉄道のトロッコ電車の車内では、先輩の身の上話を聞いたり、何段もある階段を息を切らして、運動不足を覚りながら登ったり。
苦労して辿り着いた所には、壮大な湖、ダムが広がっていた。
あまりの感動に呆気にとられる。
思わず、言葉が漏れた。
「……凄いですね」
すると、先輩も目線は景色へ向いたまま、相槌を打ってくれる。
そして、2人して写真を撮っていると、突如、観光放水が始まった。
先輩と興奮を隠せず、ついはしゃぐ。
時々当たる、霧状のダムの水が気持ち良かった。
終わってもなお、興奮を抑えきれないまま、階段を上り下りした。
また、その先で辿り着いた資料館では、昭和当時の作業風景の写真などを歩き読む。