羊かぶり☆ベイベー
「す、すみません。私、何、言ってるんでしょうね」
急に恥ずかしくなってきて、思わずうつ向く。
顔が熱くて、見せられない。
膝の上で、手をぎゅっと握り締め、羞恥と戦う。
「みさおさん、さ……」
吾妻さんのいつもより、やや低いめの声が聞こえて、肩に力が入る。
叱られる、かもしれない。
だんだん気まずくなってきて、今の私は本当に子どものようだ。
「は、い」
「そういうことを彼にも、ちゃんと言葉にして伝えてあげないと」
「……そ、そう、ですよね」
吾妻さんの顔を見るのが、怖い。
私は誤魔化す為に、うつ向いたままで苦笑いしておいた。
でも、内心の私を誤魔化すことは、どうにも出来なかった。
内心の私は、ひどく落ち込んでいる。
もっと一緒に居て、そう、純粋に話し続けていたかっただけ。
他意は、きっと無い。
せっかく先程まで、和やかな楽しい空間だったのに、私が沈黙を生み出してしまった。
正直、声を出す勇気が、なかなか出てこない。
躊躇ってばかりいた私に、吾妻さんは「そう言えば」と小さく切り出した。
「さっき廊下に居た理由、ちゃんと吐き出せてなかったね」
「え」
「聞くよ、みさおさんが良ければ」
吾妻さんの最上級の気遣い。
この部屋は、吾妻さんが寛ぐ為の部屋だ。
私が我が儘を言ったせいで。
今更になって、申し訳なくなってきた。
つい上がってしまった顔は、しっかりと吾妻さんの表情は捉える。
「友だちとしても、聞かせてくれないの?」
少し寂しそうな、表情で居た。
「あの時、かなり思い詰めた顔してたけど」
もしかしたら、これは何かの仕返しなのかな。
忘れかけて、楽しく出来ていたのに。
あの光景は、容易に浮かぶ。
その時、膝に何かが落ちた。
それは、膝の上で染みになった