羊かぶり☆ベイベー



彼には、私が既に心を開いて、接している様に見えているらしい。

もし、本当にそうだったとしたら、どうして私は今日の今日まで、こんなに苦しかったのだろう。

相手と素直に話せるように、と頑張っている期間は、ずっと気が張っていて苦しかった。

辛かった、のかもしれない。

私はこのまま、ずっと重りを抱えるような思いをしながら、彼と居続けようと思えるのか。

想像してみたら、息が詰まった。

彼と気兼ねなく、対等な存在として、一緒に居る未来に気が遠くなったからだ。

こうなると、今は何一つ言葉が浮かんでこない。

胸がいっぱいで。

その原因は、重苦しい何か。

せっかくの私の大好きなお気に入りの、この空間でこんな気持ちになりたくない。

ここだけは、いつまでも私にとっての癒しの場所であってほしいから。

そう思う時点で、彼は私のお気に入りには交えてあげられないんだ。

なんだ、そういうことか。

答なら、初めから出ていたけれど。

見て見ぬふりをしていた。

相手の顔色ばかりを窺って、人に良い顔をしたいだけの羊だった。

改めて、ユウくんの表情を確かめてみても、感情が読み取れない。

彼の顔は、いつも私の心を不安定にさせる。

気持ちが休まらない。

これ以上は、駄目だ。

私が今以上に、駄目になっていく。

それに、こんな中途半端な気持ちの私と一緒に居続けるのは、彼の時間だって勿体無い。

今まで彼に歩み寄ろうと頑張ってみたが、今回、自分が変わることは出来なかったのだと、そろそろ認めよう。

自分自身にそう知らしめるだけで、むしろ楽になれる気がする。

気付けば、先程まで穴が空きそうなほど、こちらを見ていたユウくんの視線は、やっと外れていた。

辺りを見渡している。


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