羊かぶり☆ベイベー
それだけを言えば事は済んで、驚くほどあっさりとユウくんは退いた。
ユウくんの頬が、ほんのりと紅く染まっているように見える。
それを私は冷静に見ていたのだ。
もしかしたら、私は冷めているのかもしれない。
たった言葉一つで済んだこの状況に、安堵している。
そして、罪悪感が増していく。
何事もなく済んだ様に見えるが、彼は気付いているのだろうか。
貴方が、まだ一度も謝罪の言葉を発していない、そのことに。
あまり気にしたくないけれど。
悲しくなる一方だから。
思った以上に私が、重く冷たい人間であることを思い知らされて。
「恋愛初心者だから」と甘ったれたことを言ってしまえば、その通りになってしまうのだが。
人を相手にしている時点で、そんなことを言って居られない。
平和主義者の私には、やっぱり苦しい。