羊かぶり☆ベイベー
私とのことは、一時の気の迷い、もしくは仲間内の学生同士でする罰ゲームの様なものだったのではないかと、疑ったことすらあった。
「それを、前のお前とのことで、完全に勘違いされて、いい迷惑だ」
「え。もしかして、別れちゃいそうなんですか?」
彼女がニヤニヤと、意味有りげに笑う。
それに、ユウくんの眉間が動く。
「……誰のせいで。まだだよ。何とか、首の皮一枚やっと繋がってるよ」
「許してくれないんですか?」
「多分、許してくれてない」
「へぇ」
「へぇ、って何だよ。改めて、話したときも何故か、俺に傷付けないように、気を遣ってくれて」
ユウくんは、顔をうつ向かせた。
あの日、倉庫に連れ込まれた朝のことだ。
『…………好き』
私は、あのとき確かにそう言ったけど、その言葉に本心は無かった。
なのに、ユウくんは『良かった』と一言だけ発して、笑っていた。
まさか、私の内心が彼にバレていたなんて。
そして、薄々は分かっていたけど、あの女の子は踊り場でユウくんと一緒に居た子だ。
ようやく今、確信に変わった。