羊かぶり☆ベイベー
あの子のように、自信を持って、素直に気持ちを言えるようになりたい。
だって、あの子は何の躊躇いも無く、素直に言っていた。
『まだ帰りたくないんですぅ。先輩とまだ一緒に居たくて』
あんなこと、私じゃとても言えない。
馬鹿にしているんじゃない。
羨ましいだけ。
「……ずっと、このままなんて、やだなぁ」
あと少しで良いから、こんな自分を変えたい。
そう思ったとき、あることを思い出す。
そして、私のデスクへ駆け寄り、一番上の引き出しを開ける。
そこに密かにしまってあるのは、あの日、店長から手渡された、あの名刺。
ここに電話してみよう。
そうしたら、今のこのモヤモヤ、状況を打破することが出来るかもしれない。