羊かぶり☆ベイベー
相槌を打ちつつも、相変わらず、吾妻さんは不安そうな顔で居る。
──どうして、そんな顔をするのだろう。
考えながらも、迫る時間に気付き、今日言いたかったことを、余すことなく言い切る。
「あの子のようになりたくない、と言うのは……そういう意味です」
悔いの無いよう、最後まで言い切る。
すると、吾妻さんは温かく返してくれた。
「大丈夫。みさおさんはみさおさんだから、他の人と同じにはならない。それに、みさおさんは優しいんだから、自分にも優しくして、自分を信じてあげて」
「はい。ありがとうございます」
「……うん。さて、カウンセリング終了時刻まで、あと10分くらいですが、話しておきたいことはある?」
「今日は、もう大丈夫です。言いたかったこと全部、吐き出させていただきました。ありがとうございました」
「こちらこそ。ありがとうございました」
吾妻さんがにっこりと笑う。
そして、今日の資料を整えながら、何の前触れも無く、唐突に言った。
「気をつけてね」
「え」