玻璃の向こう
奥谷さん、とチームリーダーの今泉から声をかけられたのは、午前中のことだ。

「はい」と画面から目を離して今泉を見上げる。

「デザイン部の七村さんがね、ちょっと奥谷さんにアンケートのことで話を聞きたいから、午後でも時間作ってほしいんだって」
身をかがめて早口でささやく。デザイン部の七村さん、その名を口にする声が上ずった。

「は、はい」
ぽかんと返事をしながら、一花の頭の中は当然「?」でいっぱいだった。
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