玻璃の向こう
窓の外には、美しく新しい一日が始まろうとしている。

彼と、この日を早く始めたい。
でもこうして、圭介に抱きしめられて柔らかく心地よいベッドにいるのも捨てがたい。

なんて贅沢な二択なんだろう。選ぶことなんてできなくて、彼のパジャマの袖をきゅっと握る。

圭介が一花の髪をかき分けて、耳に唇をあてる。

「だめっ」と必死で首をちぢめる。「耳弱いの・・・」

「知ってる。だから」

そのささやきが耳に触れるだけで、ぞくぞくと甘い痺れが全身に広がってしまう。

圭介が、腕の中に閉じ込めた一花の身体を器用に反転させ、ふたりの顔が向かい合う。
鼻の先をくっつけ、それから彼が一花のひたいにかるくキスをする。
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