すきだよ、先輩。


先生はにっこりと笑って、教室を出ていった。綺麗な黒髪が風になびき、ふわりといい匂いがした。

――大人だなあ・・・。

私のクラスの担任、松下咲良(まつした さくら)先生は、若くて綺麗な先生だ。肌も白く、華奢な体つきではあるものの、すらりと伸びた高めの身長が大人っぽく見せる。

――女の私でも、見つめちゃうくらいだよ。


「何ぼけっとしてんだよ、ほら帰るぞ」

「洸太郎、私にあきれてるんじゃなかったの?」

「いつものことだろ、どうせすぐ飽きるだろうし」

「飽きないもん!」

「うるせ、帰るぞ」

「あ、待ってよ!」

ぼけっと立っていた私に洸太郎が後ろから声をかけてきた。教室のドアを見ると、凛ちゃんも「帰ろう」と先に待っていた。

私はすぐに駆け寄り、3人で廊下を歩き始めた。



< 18 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop