すきだよ、先輩。
先生はにっこりと笑って、教室を出ていった。綺麗な黒髪が風になびき、ふわりといい匂いがした。
――大人だなあ・・・。
私のクラスの担任、松下咲良(まつした さくら)先生は、若くて綺麗な先生だ。肌も白く、華奢な体つきではあるものの、すらりと伸びた高めの身長が大人っぽく見せる。
――女の私でも、見つめちゃうくらいだよ。
「何ぼけっとしてんだよ、ほら帰るぞ」
「洸太郎、私にあきれてるんじゃなかったの?」
「いつものことだろ、どうせすぐ飽きるだろうし」
「飽きないもん!」
「うるせ、帰るぞ」
「あ、待ってよ!」
ぼけっと立っていた私に洸太郎が後ろから声をかけてきた。教室のドアを見ると、凛ちゃんも「帰ろう」と先に待っていた。
私はすぐに駆け寄り、3人で廊下を歩き始めた。