すきだよ、先輩。
STORY2
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――「あの、付き合ってください!」
この声は私ではない、告白現場を目の当たりにしている立花ひかる15歳。
今日はちゃんと迷わずに通学できたわけであって、先生からも褒められたその昼休み。資料を運ぶのを手伝ってと、先生から頼まれその資料を運び終えた後だった。
誰もいない視聴覚室の前を通ると、その声が聞こえた。
――でも、こんな告白現場って本当にあるんだな。漫画とかで何度も読んだことはあったけど、実際に目撃することになるとは・・・。って、人の告白のぞき見なんて趣味悪いよね、さっさと教室戻ろ。
――「葉月君、だめかな」
”葉月君””葉月君””葉月君”―。
私の頭の中で何度も、呼ばれた名前が連呼される。