すきだよ、先輩。
「は?あ、この手か」
先輩の手はパッと離れるが、少しひんやりとした先輩の手の温度が、自分のおでこからすぐには離れない。サラッとそんなボディタッチをするところが、また私の心臓を悪くする。
「夢見がちガールじゃなくて、ひかるって呼んでください。この前みたいに」
「1回だけだぞ、ひかる」
「――先輩って声も素敵ですね、もう一回」
「1回だけって言っただろ、ほらさっさと教室戻れ」
シッシと手を払い、私を邪魔者扱いする。
「もう1回呼んでもらいますからね、葉月悠先輩!」
私はそう言い残し、走って教室に戻るのだった。昨日の今日で先輩にまた会えた嬉しさと、私に見せないような優しい先輩の笑顔もちゃっかり見れたし、”夢見がちガール”と呼ばれるのも悪くない。
――あ、それは先輩だからか。