月杜物語
ジャガイモのポタージュ
[ジャガイモのポタージュ]

西行寺花蓮はキケロやセネカの随筆を読んでいるらしい。彼らは古代ローマ帝国の高官である。

レストランの会食の席で。

「キケロやセネカは大変思慮深い人物でありました。ストア哲学は、人間らしい生き方を追及したのです」

「そうなんだね」とあたし。

西行寺花蓮はキケロについて研究するときが楽しい、と考えているようでした。

「古代ローマ人、キケロなどはけして快楽に溺れる人ではありませんでした。農夫を含めて、古代ローマでは、学問や研究を生活の生き甲斐としたのです」

「学問や研究が出来るって幸せなんだね」
「そういうことです。
さ、ジャガイモのポタージュを食べてはいかがか」

甘いポタージュが芳しい香りを放ちます。こうして会食は続けられるのでした。
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