もう一度〜あなたしか見えない〜
⑥
「あなた!」
夫がいる、帰って来てくれたんだ。私はリビングへ走った。そして、そこには確かに・・・。
「お帰り。」
いつものように笑顔で私を迎えてくれる夫の姿が。私は夢中で夫の胸に飛び込んでいた。
「お帰りなさい。」
そう言った私を、夫は確かに1度、しっかり抱きしめてくれた。だけど、すぐに私の身体は、夫の手によって、夫の身体から引き離される。その夫の行動に、私はハッと我に返る。
「すまない。どうしても必要な物が出来てしまって、留守中に入り込んでしまった。」
「なんでそんなことを言うの?ここはあなたの家じゃない。」
そう訴える私の言葉には、取り合わず、夫は続ける。
「すぐに帰るつもりだったんだが、弁護士さんから連絡が来て、それで、今まで待たせてもらった。もう1度、僕と話したい、それが君からの離婚の条件と聞いたから。」
その言葉は私に冷酷な現実を突きつけた。夫の気持ちは、全く変わっていないのだと・・・。
「とりあえず座ろう。コ-ヒ-でも入れて来るよ。」
「ううん、私が入れるから、あなたは座ってて。」
「いや、僕が入れるよ。ずっとそうやって、君に甘えてきてしまったんだから。」
そう言うと、夫はキッチンに入って行く。結婚以来、家事は私がほぼ一手に引き受けて来た。共稼ぎで、今時それはありえないと、友人や会社の同僚にも言われたけど、私はそれを特に不満に思ったことなんてなかった。
「ありがとう。」
どんな時でも、夫はその一言を忘れなかったし、週末の休みには、不器用ながら、一緒に家事に取り組んでくれることもあった。
だけど、夫は私がそういう不満をいろいろため込んで、不倫に走ったと思っているようだった。
やがて、夫が慣れない手付きで、私の前にコ-ヒ-を置いた時、私の胸はギュッと痛んだ。
夫がいる、帰って来てくれたんだ。私はリビングへ走った。そして、そこには確かに・・・。
「お帰り。」
いつものように笑顔で私を迎えてくれる夫の姿が。私は夢中で夫の胸に飛び込んでいた。
「お帰りなさい。」
そう言った私を、夫は確かに1度、しっかり抱きしめてくれた。だけど、すぐに私の身体は、夫の手によって、夫の身体から引き離される。その夫の行動に、私はハッと我に返る。
「すまない。どうしても必要な物が出来てしまって、留守中に入り込んでしまった。」
「なんでそんなことを言うの?ここはあなたの家じゃない。」
そう訴える私の言葉には、取り合わず、夫は続ける。
「すぐに帰るつもりだったんだが、弁護士さんから連絡が来て、それで、今まで待たせてもらった。もう1度、僕と話したい、それが君からの離婚の条件と聞いたから。」
その言葉は私に冷酷な現実を突きつけた。夫の気持ちは、全く変わっていないのだと・・・。
「とりあえず座ろう。コ-ヒ-でも入れて来るよ。」
「ううん、私が入れるから、あなたは座ってて。」
「いや、僕が入れるよ。ずっとそうやって、君に甘えてきてしまったんだから。」
そう言うと、夫はキッチンに入って行く。結婚以来、家事は私がほぼ一手に引き受けて来た。共稼ぎで、今時それはありえないと、友人や会社の同僚にも言われたけど、私はそれを特に不満に思ったことなんてなかった。
「ありがとう。」
どんな時でも、夫はその一言を忘れなかったし、週末の休みには、不器用ながら、一緒に家事に取り組んでくれることもあった。
だけど、夫は私がそういう不満をいろいろため込んで、不倫に走ったと思っているようだった。
やがて、夫が慣れない手付きで、私の前にコ-ヒ-を置いた時、私の胸はギュッと痛んだ。