もう一度〜あなたしか見えない〜
私達の前には、1枚の用紙が置かれている。既に保証人の欄には、弁護士さんの署名捺印がなされ、あとは夫と私がそれぞれ所定の欄を埋めれば、それで全てが終わる。
まず自分の方にその用紙を引き寄せた夫が、サインと捺印を済ますと、それを静かに私の方に押してよこした。
いよいよ私が署名捺印すれば、本当に全てが終わる。今更ためらっても仕方ないのに、私はペンを持つ勇気がなかなか出なかった。
そんな私を、夫は促すでもなく、静かに見守っていてくれた。どのくらい時が過ぎたのだろう。私は意を決して、口を開いた。
「最後に1つだけ、聞きたいことがあります。」
「なんだい?」
こんな時でも、夫は優しく問い返してくれる。
「なんで・・・なんでわかったの?私が浮気してるって。」
弁護士さんには、夫を舐めていたか、絶対バレない自信があったんだろうと言われたが、舐めていたかはともかく、バレない自信はあった。
帰りが遅くなる日が極端に増えたわけじゃない。携帯にロックもしなかったし、夫そっちのけで携帯をいじってたつもりもない。化粧が変わったり、お金を派手に使ったりということもなかったはずだ。表向きは何も変わってない、はずだった。それなのに、なぜ・・・?
私の問いに、今度は夫が長い沈黙に沈んだ。私は、夫の答えを待った。
まず自分の方にその用紙を引き寄せた夫が、サインと捺印を済ますと、それを静かに私の方に押してよこした。
いよいよ私が署名捺印すれば、本当に全てが終わる。今更ためらっても仕方ないのに、私はペンを持つ勇気がなかなか出なかった。
そんな私を、夫は促すでもなく、静かに見守っていてくれた。どのくらい時が過ぎたのだろう。私は意を決して、口を開いた。
「最後に1つだけ、聞きたいことがあります。」
「なんだい?」
こんな時でも、夫は優しく問い返してくれる。
「なんで・・・なんでわかったの?私が浮気してるって。」
弁護士さんには、夫を舐めていたか、絶対バレない自信があったんだろうと言われたが、舐めていたかはともかく、バレない自信はあった。
帰りが遅くなる日が極端に増えたわけじゃない。携帯にロックもしなかったし、夫そっちのけで携帯をいじってたつもりもない。化粧が変わったり、お金を派手に使ったりということもなかったはずだ。表向きは何も変わってない、はずだった。それなのに、なぜ・・・?
私の問いに、今度は夫が長い沈黙に沈んだ。私は、夫の答えを待った。