もう一度〜あなたしか見えない〜
元夫が、現在定職に就いていないことは、まず間違いない。別れる時点では、なかなか私と触れ合う時間もなくなるくらい多忙で、会社からの信頼も厚いと思われたあの人が、なぜ会社を辞めたのか?その辺の経緯がわかれば、あの人の変貌の謎を解く第一歩にはなりそうだった。
だけど、私にはあの人の仕事関係への伝手は全くない。個人情報保護にうるさい時代に、元妻と称する女がノコノコ訪ねて行って、何かを聞き出そうとしても、怪しまれることはあっても、歓迎されることなどあり得ない。
ある日、仕事帰りに、あの人の元(であろう)勤務先に寄ってはみたものの、中に入ってみる勇気は結局出ず、諦めて帰ろうとした時だ。
「あれ?」
その声に振り返った私を見て
「ああ、やっぱりそうだ。ご無沙汰してます。」
と頭を下げてくれた男性が。この顔には見覚えがある。確か、あの人の会社の同期生で、私達の披露宴にも来てくれたし、何度か家にも遊びに来た人だ。
「こちらこそ、ご無沙汰しております。」
「ひょっとして、あいつに会いに来たんですか?」
「いえ、そういう訳じゃないんですけど、仕事で近くまで来たのでつい・・・。あの人は元気にしてますか?」
「ご存知なかったんですね。あいつ、会社辞めましたよ。」
「えっ?」
と一応驚いたふりをしてみる。これはちょうどいい人に出会えたかもしれない。
「いつのことですか?」
「奥さんとのことがあって、1ヶ月くらい経った頃ですかね。他にやりたいことが出来たと言って。随分止めたんですが・・・。それっきり、連絡も取れなくなっちまって、どうしてるんですかね?」
その人は、心配そうに眉をひそめた。
だけど、私にはあの人の仕事関係への伝手は全くない。個人情報保護にうるさい時代に、元妻と称する女がノコノコ訪ねて行って、何かを聞き出そうとしても、怪しまれることはあっても、歓迎されることなどあり得ない。
ある日、仕事帰りに、あの人の元(であろう)勤務先に寄ってはみたものの、中に入ってみる勇気は結局出ず、諦めて帰ろうとした時だ。
「あれ?」
その声に振り返った私を見て
「ああ、やっぱりそうだ。ご無沙汰してます。」
と頭を下げてくれた男性が。この顔には見覚えがある。確か、あの人の会社の同期生で、私達の披露宴にも来てくれたし、何度か家にも遊びに来た人だ。
「こちらこそ、ご無沙汰しております。」
「ひょっとして、あいつに会いに来たんですか?」
「いえ、そういう訳じゃないんですけど、仕事で近くまで来たのでつい・・・。あの人は元気にしてますか?」
「ご存知なかったんですね。あいつ、会社辞めましたよ。」
「えっ?」
と一応驚いたふりをしてみる。これはちょうどいい人に出会えたかもしれない。
「いつのことですか?」
「奥さんとのことがあって、1ヶ月くらい経った頃ですかね。他にやりたいことが出来たと言って。随分止めたんですが・・・。それっきり、連絡も取れなくなっちまって、どうしてるんですかね?」
その人は、心配そうに眉をひそめた。