自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
ドラノワ公爵家のイザベルは、セシリアと同じ歳で、ふたりは幼い頃から良き友人として交流してきた。
ふたりとも見目麗しく、ピアノやレース編みなど、貴族令嬢としての嗜みの才覚にも恵まれていたため、時としてライバルと噂されることもあった。
しかしながらセシリアとしては、一緒に趣味やお稽古事を楽しめる相手としかイザベルを見ておらず、これまで何度もツルリーに気をつけるように言われてもイザベルを擁護するばかり。
今も笑って受け流し、注意の言葉を少しも聞かない王女を、ツルリーが真顔で追及する。
「昨年の王城晩餐会では、ドレスを破かれたじゃありませんか」
「あれは、イザベルの羽根扇が壊れていて、尖った骨組みがドレスに引っかかってしまっただけ。アクシデントなのよ」
「舞踏会のあれは? 膝を擦りむかれましたのに、嫌がらせじゃないと言うのですか?」
「もちろんよ。イザベルがめまいを起こしてぶつかってしまっただけですもの。転んだわたくしに手を差し伸べて、謝ってくれたわ」
ふたりとも見目麗しく、ピアノやレース編みなど、貴族令嬢としての嗜みの才覚にも恵まれていたため、時としてライバルと噂されることもあった。
しかしながらセシリアとしては、一緒に趣味やお稽古事を楽しめる相手としかイザベルを見ておらず、これまで何度もツルリーに気をつけるように言われてもイザベルを擁護するばかり。
今も笑って受け流し、注意の言葉を少しも聞かない王女を、ツルリーが真顔で追及する。
「昨年の王城晩餐会では、ドレスを破かれたじゃありませんか」
「あれは、イザベルの羽根扇が壊れていて、尖った骨組みがドレスに引っかかってしまっただけ。アクシデントなのよ」
「舞踏会のあれは? 膝を擦りむかれましたのに、嫌がらせじゃないと言うのですか?」
「もちろんよ。イザベルがめまいを起こしてぶつかってしまっただけですもの。転んだわたくしに手を差し伸べて、謝ってくれたわ」