自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「入りなさい」と父の声がして、ドアを開けて一歩入室したセシリアは、「え……?」と呟く。
そこに、クロードもいたからだ。
国王は中央に置かれた執務椅子に腰掛けており、クロードは執務机を挟んだ向かいに立っていた。
ふたりともセシリアを見て微笑んでいるので、三つ目の人助けはまだかと心配しているような雰囲気ではない。
そのことにセシリアは戸惑う。
(それなら、なんの用事なのかしら……?)
ドア口でスカートをつまんで腰を落とし、「お父様、お呼びでしょうか?」とおずおずと尋ねれば、国王は頷き、「おいで」と穏やかな声で呼び寄せた。
セシリアが執務椅子の横まで行くと、立ち上がった国王が大きな手を娘の頭にのせ、よしよしと撫でる。
「あ、あの……」
自分はなにか褒められるような行いをしただろうかと疑問に思うセシリアに、優しげに瞳を細めた父が「よくやった」と話しだした。
「今しがた、クロードから報告を受けたところだ。三つ目の人助けをしたそうだな。三カ月という期間を守り、見事にやりとげたお前を誇りに思う」
その言葉に目を見開いたセシリアは、心の中を忙しくする。
(監視役のクロードさんは、二つ目までの人助けしか知らないはずよ。歌劇場にはいなかったんですもの。三つ目ってどういうこと? お父様は、なにかを勘違いしていらっしゃるの……?)
そこに、クロードもいたからだ。
国王は中央に置かれた執務椅子に腰掛けており、クロードは執務机を挟んだ向かいに立っていた。
ふたりともセシリアを見て微笑んでいるので、三つ目の人助けはまだかと心配しているような雰囲気ではない。
そのことにセシリアは戸惑う。
(それなら、なんの用事なのかしら……?)
ドア口でスカートをつまんで腰を落とし、「お父様、お呼びでしょうか?」とおずおずと尋ねれば、国王は頷き、「おいで」と穏やかな声で呼び寄せた。
セシリアが執務椅子の横まで行くと、立ち上がった国王が大きな手を娘の頭にのせ、よしよしと撫でる。
「あ、あの……」
自分はなにか褒められるような行いをしただろうかと疑問に思うセシリアに、優しげに瞳を細めた父が「よくやった」と話しだした。
「今しがた、クロードから報告を受けたところだ。三つ目の人助けをしたそうだな。三カ月という期間を守り、見事にやりとげたお前を誇りに思う」
その言葉に目を見開いたセシリアは、心の中を忙しくする。
(監視役のクロードさんは、二つ目までの人助けしか知らないはずよ。歌劇場にはいなかったんですもの。三つ目ってどういうこと? お父様は、なにかを勘違いしていらっしゃるの……?)