自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
交代で見張りにあたる若い兵士がひとりいて、セシリアに気づくと、すぐに敬礼の姿勢をとった。
兵士が驚いて用向きを尋ねたりしないのは、前にもここで、王女に会ったことがあるためである。
「お務めの邪魔をしてごめんなさいね。気分転換に、少しだけ景色を眺めたいの。いいかしら?」
クロードを覗き見るという目的をハッキリと口にするのは恥ずかしいので、セシリアはそのように問いかけた。
すると兵士は照れたように頬を染め、「はい。お気の済むまでご覧ください」とかしこまる。
「よろしければ、これをどうぞ」と、親切にも望遠鏡まで貸してくれた。
「まぁ、嬉しいわ! ありがとう。あなたはとても優しいのね」
愛らしい微笑み付きのセシリアの褒め言葉は、兵士の顔をますます火照らせる。
動揺に目を泳がせていた兵士であったが、やがて高鳴る鼓動に耐えかねたのか、「こ、交代の者が遅いため探しに行ってまいります。落ちないよう、お気をつけください」と言い残して、階段を駆け下りてしまった。
兵士が驚いて用向きを尋ねたりしないのは、前にもここで、王女に会ったことがあるためである。
「お務めの邪魔をしてごめんなさいね。気分転換に、少しだけ景色を眺めたいの。いいかしら?」
クロードを覗き見るという目的をハッキリと口にするのは恥ずかしいので、セシリアはそのように問いかけた。
すると兵士は照れたように頬を染め、「はい。お気の済むまでご覧ください」とかしこまる。
「よろしければ、これをどうぞ」と、親切にも望遠鏡まで貸してくれた。
「まぁ、嬉しいわ! ありがとう。あなたはとても優しいのね」
愛らしい微笑み付きのセシリアの褒め言葉は、兵士の顔をますます火照らせる。
動揺に目を泳がせていた兵士であったが、やがて高鳴る鼓動に耐えかねたのか、「こ、交代の者が遅いため探しに行ってまいります。落ちないよう、お気をつけください」と言い残して、階段を駆け下りてしまった。