自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「あそこです!」とツルリーが指差したのは馬場で、甲冑をつけた若い騎士たちが騎馬戦の訓練中の様子。
稽古をつけてあげているのは黒い騎士服姿のクロードで、左手で手綱を持ち、巧みに馬を操りながら、右手の剣で、三人の騎士をいっぺんに相手にしていた。
戦いのことなど、まるでわからぬセシリアにも優劣が判断できるほどに、クロードは圧倒的に強く、若い騎士たちは剣を弾き飛ばされたり、落馬したりと翻弄されている。
檄を飛ばすクロードの厳しい声が、尖塔のてっぺんまで、微かに届いた。
「素敵……」とため息交じりに呟いたセシリアは、見張りの兵士が貸してくれた望遠鏡を目に当てた。
そうすると真剣な眼差しや速い息遣いまでもが、手に取るように感じられて、クロードの凛々しさ、頼もしさはひとしおである。
馬上の彼の前髪が揺れるたびに、額の古傷があらわにされた。
それを目にすると、かつて命懸けで守られた記憶が鮮やかに蘇り、セシリアの胸は熱く焦がれるのだ。
稽古をつけてあげているのは黒い騎士服姿のクロードで、左手で手綱を持ち、巧みに馬を操りながら、右手の剣で、三人の騎士をいっぺんに相手にしていた。
戦いのことなど、まるでわからぬセシリアにも優劣が判断できるほどに、クロードは圧倒的に強く、若い騎士たちは剣を弾き飛ばされたり、落馬したりと翻弄されている。
檄を飛ばすクロードの厳しい声が、尖塔のてっぺんまで、微かに届いた。
「素敵……」とため息交じりに呟いたセシリアは、見張りの兵士が貸してくれた望遠鏡を目に当てた。
そうすると真剣な眼差しや速い息遣いまでもが、手に取るように感じられて、クロードの凛々しさ、頼もしさはひとしおである。
馬上の彼の前髪が揺れるたびに、額の古傷があらわにされた。
それを目にすると、かつて命懸けで守られた記憶が鮮やかに蘇り、セシリアの胸は熱く焦がれるのだ。