自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
「そうでしたか」と納得し、心配を解いた様子のクロードは、騎士らしくセシリアに敬礼してから、ドアノブに手をかけた。
「私は詰所に戻りますので、ここを閉めておきましょう」
部下ではなく、騎士団長を務める彼が、護衛として控えていた理由は、使者を要人として扱っているのだと、示したいがためである。
王城内に暴漢が入り込んだことは、過去において一度もなく、守るという意味合いより、形式としてのものであった。
そのため使者が帰れば、クロードがドア横に立ち続ける意味はないので、次の仕事へ移ろうとしているようだ。
ドアが閉められそうになり、セシリアは慌てて立ち上がると、彼を呼び止める。
「クロードさん!」
「はい、なんでしょう?」
半分、閉められたドアが再び開かれ、彼はセシリアの呼びかけに応じてくれる。
視線が交わるだけで、鼓動が高鳴るセシリアであったが、それを甘い恋の喜びとは感じられず、縋る思いで問いかけた。
「あの、あなたは、この度のわたくしの縁談について、どう思われますか……?」
彼女の瞳が潤んでいるのは、緊張しているためである。
(もしクロードさんが、結婚をやめた方がいいと言ってくれるなら、私は勇気を出して、嫌だという気持ちを、お父様に話そうかしら……)
「私は詰所に戻りますので、ここを閉めておきましょう」
部下ではなく、騎士団長を務める彼が、護衛として控えていた理由は、使者を要人として扱っているのだと、示したいがためである。
王城内に暴漢が入り込んだことは、過去において一度もなく、守るという意味合いより、形式としてのものであった。
そのため使者が帰れば、クロードがドア横に立ち続ける意味はないので、次の仕事へ移ろうとしているようだ。
ドアが閉められそうになり、セシリアは慌てて立ち上がると、彼を呼び止める。
「クロードさん!」
「はい、なんでしょう?」
半分、閉められたドアが再び開かれ、彼はセシリアの呼びかけに応じてくれる。
視線が交わるだけで、鼓動が高鳴るセシリアであったが、それを甘い恋の喜びとは感じられず、縋る思いで問いかけた。
「あの、あなたは、この度のわたくしの縁談について、どう思われますか……?」
彼女の瞳が潤んでいるのは、緊張しているためである。
(もしクロードさんが、結婚をやめた方がいいと言ってくれるなら、私は勇気を出して、嫌だという気持ちを、お父様に話そうかしら……)