鳴る星の彼方
「笑った……浅本さんが笑ってるとこ、俺、初めて見た……」
「うちも、由衣が他の人の前でこんなに大笑いしてるとこ、初めて見たかも」

そんな事を2人が呟いているとは露知らず、私はひとしきり笑ってから滲んだ涙を拭った。

「……ありがとう、朝倉くん」
「え?」
「人と関わるのが怖いって気持ち、ほんの少しだけ、軽くなった気がする」

朝倉くんは私の言葉に目を丸くしたあと、くしゃりと笑った。

「なんだ、『ほんの少しだけ』かよー」
「うん、ちょっとだけね。……さ、勉強再開しよう!」

それに「えー!」と不服の声を上げたのは絵里だ。

「やだ、休憩!」
「ダメです」
「鬼だ、由衣!……ねぇ瞬、休憩しようよー」
「浅本先生の決定に僕は逆らえません」
「なにそれー!!」

2人の言い合いを聞きながら窓の外を眺めると、夕日は地平線の向こうに消えかかっていて、ほんの少しだけ、顔を覗かせていた。
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