初めまして、大好きな人
そう言われてしまうととても恥ずかしい。
でも、そうだよね。
必ずしも理解出来るわけじゃない。
私だってお父さんとお母さんが死んでしまったことを理解するのには
時間がかかった。
最初は信じられなくて拒絶反応的に吐いたりもした。
そう思うと尚央のことを理解出来たのは
すごいことなのかもしれない。
ノートには尚央について事細かに書かれていた。
イケメンなこと、若く見えること、
そして服がダサいこと。
すぐに分かった。
この人が尚央なんだって。
それが嬉しくて、思わず笑っていた。
そんな私を見て、尚央は一瞬真剣な顔をして私を見つめた。
それからすぐに柔らかく笑った。
「さ、今日は何をする?」
「えっ?」
「どこか行くか?時間もあるし」
「どこかって?」
「それを聞いてんの。どっか行きたいとこ、ある?」
行きたいとこ。
私はノートを見つめた。
一昨日は山、昨日はデパート。
どちらも尚央が決めたのかな。
私はどこかに行きたいのだろうか。
行きたいところって言われても、
私はそんなに欲がない。
でも、ここで何か言わなきゃ
不快な思いをさせるよね?
うーん、どこがいいかな。
どこか、どこか……。
「よし、それ飲んだら行くぞ」
「えっ?」