初めまして、大好きな人
「ここ、何?」
「いいから」
受付のようなところで
尚央が大人と高校生のチケットを買う。
映画かな?
でも、映画館にしてはせまいような……。
辺りを見渡していると、
尚央が私の手を引いて中に入った。
中に入ると映画館のように席がずらりと並んでいて、
尚央は一番後ろの席へと座らせた。
「何?映画?」
「残念。不正解。プラネタリウムってやつだよ」
「プラネタリウム?」
私がそう聞き返すと、館内が暗くなった。
アナウンスが流れて、
視界いっぱいに星が映し出される。
とても綺麗だった。
星に詳しいわけではないけれど、
星を見るのは好き。
星ってなんでこんなに綺麗なんだろう。
見ているととても心が和いでいって落ち着くの。
お父さんとお母さんも、
この星のどこかにいるのかな、
なんて子供みたいなことを想ってしまう。
そうであってほしかった。
この星のどこかにきっといて、
私を見守ってくれている。
だから、私はこんな病気を抱えていても
毎日を生きていられる。
そう思いたかったの。
そう思えば、お父さんとお母さんの死に
向き合えると思った。
ふと、ノートに書いてあったことを思い出した。
昨日の私に尚央が言った言葉。
お父さんたちのことは忘れなくてもいい。
むしろ覚えているってことはすごいことだって。
そしてそれから、私が泣いたら、
尚央が笑わせてくれるっていうことも。
そんなことを言ってくれるし、
こんなところに連れてきてくれるっていうことは、
この人は意外とロマンチストなのかもしれない。
ふふっと笑うと、尚央が私の手を握ってきた。
きゅっと、力強く。それでも優しく。