初めまして、大好きな人
ぱっと画面が明るくなり、一人の男の人が映る。
男の人は一本の傘を手にして、
じっとその傘を見つめている。
そんなシーンから始まった。
字幕が流れ出して、男の人の回想が始まる。
学校のような建物が映って、
そこで男の人は一人の女の人と出会う。
この人がこの映画のヒロインかな。
外国の人って、なんでこんなに綺麗なんだろう。
ただそこにいるだけで凛としていて素敵。
私はその映画にものの数分で惹き込まれていった。
男の人の名前はカルロス。
カルロスは成績優秀で学校の人気者。
そんなカルロスが出会ったあの女の人はリザ。
彼女と出会ったのはある雨の日で、
カルロスはその日傘を忘れて立ち尽くしていた。
「ついてないぜ。雨、やみそうもないな」
誰ともなくそう悪態をついたカルロスの前に、
リザはやってくると、カバンから折り畳み傘を取り出して
カルロスに手渡した。
「おい、これ……」
リザは静かに微笑むと、そのまま雨の中を歩いて行ってしまう。
それがリザとカルロスの出会いだった。