初めまして、大好きな人
彼女の衝撃的な告白。
カルロスは何も言えなかった。
リザが死ぬ。
信じられないような現実に、ただ絶望するしかなかった。
彼女をよく見てみると、確かに体はやせ衰えて、
覇気がないように思えた。
リザはかすれ声で言った。
「私に関わらないで」
カルロスは病院からの帰り道、
ずっとリザのことを考えていた。
あんなに楽しくて、あんなに一緒にいたリザが死ぬ。
もう死ぬのと笑ったあの顔も、
関わるなと言ったあの言葉も、カルロスの胸を打った。
カルロスはその数日後、
もう一度彼女に会いに病院へと足を運んだ。
彼女はベッドの上にいた。
「リザ。君はあと、どれくらいなんだ?」
「あともう、一か月」
「それなら、その一か月を僕にくれないか。
君とずっと、一緒にいたいんだ」
リザは涙ながらに頷いた。
それから二人はいつも一緒で、病院で出来ることをした。
本を読んだり写真を撮ったり、
カルロスが学校での出来事を話してはリザが笑う。
時折リザの体調が悪くなるたびに、
カルロスは心配して献身的に世話をした。
カルロスがリザの世話をするようになって一か月。
ある日のことだった。
来た時には晴れていたのに、
その日は突然雨が降った。
窓の外を見て落胆するカルロスに、
リザは傘を差しだした。
出会った時と同じ折り畳み傘。
カルロスはそれを受け取って笑った。
リザもつられて笑う。
カルロスはその時、リザの手が冷たいことに気付いたけれど、
特に気にすることもなく、その日は病院を後にした。
夜、カルロスは夢を見た。
リザが元気になって、二人で旅行に行く夢だった。
夢の中のリザは笑っていて、元気に走り回っていた。
「ねえ、カルロス」
「なんだい?」
「私ね、あなたが好きよ」