初めまして、大好きな人
はっと目が覚めた。
ざあざあと雨が激しく降っていた。
起きると甲高く電話が鳴り響いていた。
受け取ると、それはリザのいる病院からだった。
それは突然の知らせだった。
カルロスは傘を手にして走り出した。
濡れるのも構わず走り続けて、ようやく病院に着いた時、
彼女はもうすでに亡くなっていた。
主治医が自分宛てにと、
リザから預かったという手紙を差し出した。
―ピンクの胡蝶蘭をあなたに捧げます。
どうかお元気で。
出会ったあの時から、私の心はいつも一つでした。
どうか私を、忘れないで。
カルロスは首を傾げた。
そういえばと、傘を見つめる。
リザが貸してくれた傘にも、
胡蝶蘭が描かれている。
不思議に思ったカルロスは図書館で胡蝶蘭を調べた。
その意味が分かった時、カルロスは大声で泣き喚いた。
胡蝶蘭の花言葉は、「あなたを愛しています」だったのだ。
リザはずっと、自分を好いてくれていたのだと知ったカルロスは、
自分の中に芽生えていた感情も知る。
自分も彼女のことが好きだった。
彼女と過ごした時間は幸せだった。
もっと早くこの意味に気が付いていたら、
自分が好きだと、愛していると告げられていたら、
何かが変わったかもしれない。
もう戻らない幸せな日々と、
見ることのできない彼女の笑顔が浮かび、
カルロスは後悔した。